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使用草種の選定

芝草は生育に適した環境条件により寒地型草種と暖地型草種に分類されますが,草種の選定にあたっては利用地域の気候,利用の目的,芝生地維持管理の水準や播種の時期など数多くの条件を考慮して草種を選択する必要があります。

温度条件

植物の生育・生存に最も大切な要素の一つであると共に,人為的な条件改善が大変困難な要素でもあります。 そこで,利用地域に適した草種を選択する場合の判断基準として使用される数字が「温量指数」です。 この温量指数とは観測地点の月平均気温が5℃を越えた月の5℃を越えた部分を12ヶ月分積算した数字で表されます。 (例:月平均気温が12℃の場合 12-5=7)

温量指数の日本地図

地域区分
草種
I II III IV V VI
ケンタッキーブルーグラス
 
クリーピングレッドフェスク
 
ベントグラス
 
ライグラス
トールフェスク
ノシバ
 
コウライシバ
 
 
バミューダグラス
 
 
センチピードグラス
 
 
ウィーピングラフグラス
 
 
カーペットグラス
 
 
 

播種時期

暖地型芝草種子の発芽適温は25℃~30℃で,西南暖地の一部を除いては低温期に地上部が休眠状態となります。 従って,発芽から休眠するまでの生育期間を最も長くとるために春播きが基本となります。寒地型芝草種子の発芽温度は20℃~25℃で,一日のうち10℃程度の温度変化があると発芽が促進されます。
つまり,夏期が高温多湿な地域では晩秋に播種して翌年の過酷な夏を迎えるまでに十分な生育をさせるようにし,夏が比較的冷涼な地域では発芽適温時期の初夏に播種することが最も良い結果につながります。

播種量

播種量の決定は前述の温量指数や播種時期を考慮して,右ページの混播例を参考に設定した1m2当たりの期待発芽本数を基にして以下の計算式を用いて算出します。

VI
地域区分と利用目的による草種の組合せ例こちら

単位面積当たりの適正な発芽・生育個体数は,ほふく茎の有無や分けつの旺盛さなど 草種の生育状態によって大きく異なりますが,「芝生」をつくるためには少なくとも1m2あたり40,000程度の期待発芽本数を設定する必要があるでしょう。 たとえば,最も本数が多い例として,ゴルフコースのパッティンググリーンにクリーピングベントグラスを播種する場合を考えてみますと,1m2当たりの播種量は現在10g前後が一般的ですので,計算式から逆算してみますと1m2当たりの期待発芽本数は100,000を優に越えるものとなります。 しかし,この計算式で得られる数字はあくまで「発芽」が期待できる種子の数であり,発芽直後や葉苗時の立ち枯れなどは考慮されていないので実際の計算にあたっては,環境条件による不発芽や初期の枯死などを考慮した危険率を計算に入れる必要があります。

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