環境緑化関係環境緑化関係

緑化の目的

緑化の目的は,自然災害や人間の経済活動によって生じた無植物状態の裸地に,人為的かつ早期に植物群落を形成させることで,斜面の崩落や土壌表層の侵食を防止するとともに周辺環境との景観的・生態的な調和を図ることにあります。

利用植物の選択

植物の生育は土壌や気候などの外的な環境条件によって大きな環境を受けますので,施工対象地の環境条件を十分考慮して導入植物を選択する必要があります。 また,植物は種類ごとに様々な生育形態上の特性を持っていますので,緑化の目的に応じてその特性を生かすように複数の植物を利用することが有効な方法となります。

初期生育の早い種類と遅い種類

崩壊産地や盛切土法面の安定のためには地中深根系の伸長する木本類の導入がかかせません。 しかし,木本植物はその生育形態から土壌表層の侵食防止効果はあまり大きくありません。 そこで,浅根性ではあっても地表面をよく被覆する下繁性の草本類と混播することが,植物間の過度の生育競合を避け植物群落の安定化にもつながります。

従来草・木本類と芝草類

永続的に優れ従来の周辺種生との景観的な違和感のない在来草・木本類を主に混播する場合,発芽・初期生育が遅く播種当初の土壌浸食防止効果に劣る点を補うために,初期生育は早いが永続性に劣る外来芝草類を組み合わせて利用することが有効です。 しかし,ここで重要となるのは生育の遅い在来種を芝草類が被圧しないように,芝草類のなかでも比較的生育の遅い草種や草丈の低い芝草型改良品種を混播割合を低くして利用するようにします。

根粒バクテリア共生植物の利用

マメ科植物のシロクローバー,メドハギ,ヤマハギ類とカバノキ科のヤシャブシ,ヤマハンノキ類は根粒バクテリアの共生によって空中のチッソを固定し土壌を肥沃にします。 このため,肥料分に乏しいやせ地においては肥料木としての働きが重要となりますので,植物の選択にあたってはぜひ加えたい草種です。 しかし,草本のクローバーは生育が早く他の植物を被圧してしまう傾向がありますので,混播の割合は2割程度を上限としてください。

播種量の計算

播種する種子数量の計算は前出「芝草利用草種の選定と利用」の播種計算式を基本としますが,芝草類のみを用いて芝生を造成する場合と違い,施工対象地の立地条件や施工方法(工法)に関連した補正値を加味して算出する必要があります。また,客土や厚層基材を用いた工法の場合には植物の発芽可能な土壌(基材)厚を算入してください。

C:立地条件に対する各工法の補正率

立地条件 補正率
法面勾配 50度(1:0.8)以上 0.9
50度(1:0.8)以下 1.0
土質 硬岩 0.9
その他 1.0
法面方位 南面で硬岩 0.8
その他 1.0
降水量 1,000mm未満 0.7
1,000mm以上 1.0

D:施工時期の補正率

施工時期 草本植物 木本植物
3月~6月 1.0 1.0
7月~8月 0.8 0.7
9月 1.0 0.5
10月~11月 0.7 0.5
12月~2月 0.9 0.8

上記は1種類についてのみの計算です。 しかし,実際には複数の植物を使用した混播施工が一般的ですので使用する植物ごとに上記の計算を行うと同時に,植物の生育特性に応じたバランスを考慮して混播の割合を決定する必要があります。

土壌条件

土壌条件には物理的な条件と化学的な条件がありまが,一般的には土壌硬度と土壌pHの2点が重要となります。

植物の生育は土壌や気候などの外的な環境条件によって大きな環境を受けますので,施工対象地の環境条件を十分考慮して導入植物を選択する必要があります。 また,植物は種類ごとに様々な生育形態上の特性を持っていますので,緑化の目的に応じてその特性を生かすように複数の植物を利用することが有効な方法となります。

土壌硬度

土壌硬度は土質によって多少異なりますが,山中式土壌硬度計の計測値で,10以上25未満が植物の生育に適した土壌硬度の範囲と言われています。 これは,硬度の低い軟質な土壌は一般的に乾燥が激しく,降雨や流水による侵食も受けやすいと云った欠点があり,一方硬質な土壌では植物の根系伸長が妨げられることによる生育不全や枯死が生じやすいからです。

土壌pH

芝草類の生育に適したpHは弱酸性pH6.0から中性7.0の範囲にありますが,草種によってその適応範囲は異なります。 しかし,強酸性や強アルカリ性の土壌改良資材を用いて矯正して下さい。

土壌pHと草種の適応性

種子量の設定

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